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更新日:2020.10.5

考作室とは

様々な課題を達成するための何かを思いつき易くするために、考作を助ける道具全般を探究するところです。

考作を助ける道具は、「課題の工夫」、「考えるための予備知識の工夫」、そして「出てきた考えをどのように扱うかの工夫」をするための方法です。(考える仕組みを参照してください。)

考作を助ける道具
  1. 考式集

    先輩諸氏が公表された思考の方法つまり考作を助ける道具を分析すると、いくつかの基本的要素と言えるような、考え方があることがわかりました。

    それぞれの思考の方法は、基本的要素の全てを含んでいるのではなく、それぞれの方法の目的にあったいくつかの基本的要素を持っています。

    これらの基本的要素を考式と名付けて、これらを紹介する考式集を用意しました。

  2. 標準的な考作

    私が考える標準的な考作を紹介します。

    これはあくまで基本形であり実際に考作をするときは、その時の状況に合わせて、この方法を基に一部を省略したり、追加したり、考式を使う順番を入れ替えています。

  3. 既存の道具

    私が使って助けられた既存の道具を紹介します。

    今は、「ブレインストーミング(私の使い方)」のみです。

考式集

考作を助ける道具の基本的要素である考式を紹介します。

良い考えを思いつかないときに、この一覧の中で自分がやっていないと思う考式を意識的に使ってみると、効果が出るかもしれません。

  1. 考える段階を分ける

    課題に気づいたときに、「この課題の答えはなんだろうか」と考えるのが普通です。

    そういう流れで考えても良い考えを思いつかないときは、いくつかの段階に区切って考えるという考式がいろいろあります。

    それは全てを考えるより、そこだけ考える方が考えやすいことがあるからです。

    これには、認知心理学などで言われているような「注意には限られた容量がある」や「作動記憶で同時に保持出来る事柄は7±2個」ということが関係しているようにも思います。

    以下の考式を全て使わなくても、一つだけを使って考えてみるのでも、いい考えを思いつくきっかけになることがあります。

    これらは、主に「課題の工夫」と「出てきた考えをどのように扱うかの工夫」になっています。


  2. 良いヒントを使う

    なかなか考えが浮かばないときに、ちょっとした事がヒントになって考えが先に進むことはよくあります。しかし同じものを見ても時によっては、何のヒントにもならないこともあります。
    その理由は、自分の内部の状態やヒントの捉え方など色々な要素が組み合わさって、ヒントとして活きたり活かせなかったりするのだと思います。
    したがって、一つを使って上手くいかなくても色々試しているうちにいい考えが浮かぶ可能性があります。

    これらは、主に「考えるための予備知識の工夫」になっています。


  3. その他
課題を見直す段階を作る

課題に気づくと直ぐに、その答えは何だろうと考えたくなります。

しかし、ここであえて「この課題の答えを得ることが、何のためになるのか」という風に目的を問い直してみる段階を作るという考式です。
実際にこの問いに答えようとすると、実は課題の認識があいまいなことも結構あります。

また、その目的の達成は、今取り掛かろうとしている課題以外の別の課題を達成することでも可能なことに気づくこともあります。

単純に「この課題の答えを得ることが、何のためになるのか」と考えてみることだけでも有効です。

これを繰り返して考えついた目的に対して、更に「この目的を達成すると、何のためになるのか」、更に「それを達成するのは、何のためになるのか」と次々に問いかける方法もあります。

このように「課題を見直す段階を作る」という考式を盛り込んである思考方法として、バリューエンジニアリング(VE)や、TRIZの「問題階層探索法」、USITの問題定義における課題定義文を作る段階、そして「なぜ、なぜ」と5回問いかける方法、KJ法では問題探索ラウンド等があります。

このように、はじめに思いついた課題を見直して、より効果的な課題にするのがこの考式です。


手段でなく機能に視点を当てる段階を作る

物や組織を改良したり、新しいものや新しい仕組みを作るなどの達成方法を考える時に、構造や組織構成などをどのようにしたらよいかと考えたくなります。

この考式は、構造や組織ではなく、目的を達成するためには、どんな働きが必要なのかという機能に着目して考える段階を作るということです。

物の構造や組織構成に捉われると、同じ機能を果たす別の物や組織などが安価に手に入ることを見落としがちになるからです。

そして、人が何かを求める理由は、構造や組織そのものではなく、それらが果たす機能であることが多いということも、この考式が重要な理由です。

 バリューエンジニアリング(VE)の5原則の一つに、機能で考えることが入っています。

USITにも、機能分析のステップがあります。

NM法ではキーワード(KW)を考える時に機能に着目することになります。


課題を達成できていない原因を考える段階を作る

課題を達成する方法を考える前に、達成できない原因を探るということです。

課題を達成する方法を漠然と考えて良い案が浮かばないときには、課題を達成できない原因を見つけて、それを取り除く方法を考えると、良い方法が見つかることもあります。

原因という言葉を使わずに「この課題の達成を阻んでいるのは何か」と考えることも有効です。これは結局、課題を達成できない原因を探ることになります。

「何が邪魔しているのだ?」と言い方を変えると、意識も変わって答えやすくなることもあります。

はじめに達成しようとした課題よりも原因を取り除く方法を考える方が簡単に答えを得られる場合もあります。

「課題を達成できていない原因を考える段階を作る」という考式を盛り込んである思考方法としてTRIZの「問題階層探索法」やUSITの問題定義における根本原因の特定という段階、そして「なぜ、なぜ」と5回問いかける方法等があります。


現在の構造・機構・機能を明確にする段階を作る

課題を達成する方法を考える前に、現状がどうなっているのかを良く知るということです。

現在の状況には、課題を達成するための色々なヒントが隠されている事がよくあります。

これを利用しないで課題を達成する方法を考えると、結局遠回りになったり、達成方法を考えついても思わぬ落とし穴にはまってしまうこともあります。

現在の物が、どんな構造・機構になっていて、それぞれの部分がどのような機能を果たしているのか、あるいは現在の組織が、どんな人達でどのように構成されていて、それぞれの人や部署がどのような機能を果たしているのかなどを明確にする段階を作ることです。

この考式を盛り込んである思考方法としてTRIZの「物質-場分析」やUSITの「問題分析」のステップ、あるいはバリューエンジニアリング(VE)の機能系統図による機能分析、KJ法では状況把握ラウンドなどがあります。


矛盾を発見し矛盾を解消する

ここでの矛盾とは、一つの問題を解決する事によって別の問題が生じてしまうことを言います。

課題を達成する案を思いついても、その案を実施すると別の問題が起こることに気づけば、当然その案を捨てることになります。

その後また課題を達成する案を考えることになりますが、このような状況の時には、また矛盾が起こることが多いようです。

このような場合に、当面の課題を達成する案を考えるのではなく、矛盾を無くすにはどうすれば良いのかを考えると、良い案が出ることがあります。

この考式を盛り込んである思考方法としてTRIZの「発明原理」があります。

これは、矛盾がある時に、どのような方法で矛盾が解消されたのかを過去の特許から調べて整理したものです。我々は矛盾がある状態の時に、この発明原理をヒントにして矛盾をなくす方法を考えることが出来ます。


焦点を絞って考える

直面している課題を達成する方法を考える時に、考える範囲を決めないで自由に考えようとすると、大海原に投げ出されたようにどの方向に進んだらいいのか見当がつかないということがあります。その結果として何も思いつかないということにもなります。

こんなときには、考える範囲をあえて絞り込んで考えてみると、何かしらの考えが浮かんでくることもあります。これが「焦点を絞って考える」という考式です。

なお、ひとつの観点に焦点を絞って考えると、その焦点から外れた観点での考えが漏れてしまうことになるので、ある程度考えたら、別の観点に焦点を移して考えてみるということを繰り返しやることも必要です。

焦点をどこに絞るのかは、色々なやり方があります。

例えば時間で分けることができる場合では、先ず「過去」のことだけで考えてみて、次に「現在」を焦点にし、最後に「未来」に焦点を当てて考えてみるということができます。

また属性列挙法(特性列挙法)では、課題に関する物事をその属性に分解して、その中のひとつの属性を変更すると全体がどのように変わるのかということに焦点を当てて考えてみる方法です。
当然、全ての属性に順番に焦点を当てて考えることで、考えの漏れを防ぎます。


発案と評価を分ける

私は何かを考える時に、考えを思いつくと直ぐにその考えが良いか悪いかを、頭の中で判断してしまうことがよくあります。

これで良い考えが出るときは良いのですが、良いと思える考えが出ない時は、「思いついては却下し、思いついては却下する」の繰り返しになり、そのうちネタ切れになって堂々巡りのように同じ考えが何度も出てくることになってしまいます。

このような状態を抜け出すのに、発案と評価を分けるという考式があります。

その第一段階は、何かを考えついた時に、その考えが良いか悪いかを全く評価せずに書き留めて、更に別の考えを出すことに専念するというもので、なるべくたくさんの考えを出します。

第二段階は、たくさん出した考えを見比べながら評価するというものです。
この第二段階では、出した案をそのまま評価することもありますが、「案を整理する段階を作る」と「案を育てる段階を作る」という考式を使った後で評価することもあります。

この考式で有名なのは、ブレインストーミングです。
ブレインストーミングは、もともとは会議の方法として、この考式を盛り込んで作られたものです。
というより、ブレインストーミングからこの考式が出来たのかもしれません。

そして、一人で考える時にも、この考式を使うことによって思いつきやすくする効果を得ることが出来ます。


案を整理する段階を作る

いろいろな考式を使って、いくつかの案が出たときに、その中で一番いい案を選んで採用するという方法もあります。
その案が完璧なものであれば、それで問題はないのですが、出した案の中で一番いい案であっても、欠点を持っていることが少なくありません。
あるいは、案は色々出してみたけれど、どれも欠点があって採用できそうにないということもあります。

こんなときにそこであきらめてしまう前に「案を整理する段階を作る」という考式を使ってみると効果が出ることがあります。

効果としては、整理しているうちに更に新たな案を思いつくということと、既に出たいくつかの案を組み合わせることによって、それぞれの欠点を打ち消していい案に発展できることに気づくことがあるということです。

整理の方法は色々あります。
たとえばどのような点に着目して整理するのかという分類する観点も色々考えられるし、分類結果をどのように表すのかについても様々です。
たとえば表にしたり系統図で表したり、数値化できる場合にはグラフにしたり、私の場合は大抵、「札寄せ法」で整理します。


案を育てる段階を作る

この考式は、「案を育てる」ということを強く意識して考える段階を作るというものです。
「案を整理する段階を作る」という考式の効果としても、いくつかの案を組み合わせてもっとよい案に気づくという効果がありますが、この「案を育てる段階を作る」という考式では、「育てる」ということを積極的に意識します。

たとえどんなに役に立ちそうにない案であっても、何とかそれを役に立たせるにはどうしたらいいのかを強引にでも考える段階を作るということです。


理想的に解決した状態を描いてみる

課題を達成するための方法を考える時に、漠然としていて何の手掛かりもなければ、理想の状態をヒントにしようというのがこの考式です。

解決策を考える前に、「もし理想的に解決できたとしたら、その時の状況はどうなっているだろうか」を想像してみるというのがこの考式です。
理想の状況を思い描ければ、現状との違いがどのようになっているのかを考えて、その違いを無くすには、どうしたらいいのかを考えます。

こうすることによって、たとえて言うなら課題を達成するための方向に向かって方法を考えることが出来ることになります。

このような考式を盛り込んである思考方法としてTRIZの「究極の理想解」を求めるという方法があります。
TRIZの場合は、究極の理想解を決めてその理想解を少しずつ変化させて現状に近づけるように考えていくことによって、現状を変化させるのとは違う革新的なアイデアを得ることが出来るとされています。


複雑な情報を分類してみる

情報が沢山ある時には、それら全部を眺めているのではなく、色々なやり方で分類してみるということです。

分類の方法としては、表にしたり、系統図のようにしたり、情報間の関連を図示してみたり、様々なやり方があります。私は「札寄せ法」を使う事が多いです。

情報の数が多いと、それらの全てを頭に入れることは難しくなります。情報を分類することで、似た情報は一つにまとめることが出来れば、情報の数を見かけ上減らすことが出来ることになります。
その結果として考えやすくなることもあります。その他、分類している最中に何らかの気づきを得ることも多くあります。


考える視点を変えてみる

ここでの視点とは、課題や状況や前提条件の捉え方のことです。
 他の考式の多くは、結局はこの考式の一部と言えます。

それまでと違う見方をしてみると、今まで使っていなかった記憶が刺激されて、新たに役立つ何かを思いつく事があります。

課題を全体的に捉えていたなら、部分的な捉え方をするのもこの考式の一種です。
その他にも、課題を裏返してみる、例えば「○○事故が起こらないようにするにはどうしたらいいか」という課題のときに「○○事故を起こすにはどうしたらいいか」と考えてみると、それまで考えつかなかったことに気づくこともあります。
また、肯定文の課題を否定文で同じ意味を表してみる。
枝葉を除いて課題の中心だけを考える(近づいてみる)、逆に課題を取り巻く状況に目を向けてみる(遠ざかってみる)などもあります。

この考式を利用した技法は沢山あります。

属性列挙法は全体を見るのを一時的にやめて、属性(特性)に目を向ける方法です。

TRIZの物質-場分析は、中心的な二つの物に注目し、その一方が他方に対してどんな作用を与えているのかを考えてみる方法です。

また、課題の対象になっているモノ同士の位置関係だけに着目する空間特性分析や、時間的な関係だけに着目する時間特性分析というUSITの方法もあります。

そして現在の状況から視点を変えるために、どうなることが理想的なことなのかを考えてみることも有効です。TRIZの究極の理想解もこの考式を利用していると言っても良いでしょう。

理想解とは少し違いますが、対象がどうなることが好ましいのかだけについて考えてみる希望点列挙法や、対象の好ましくないことだけについて考えてみる欠点列挙法もこの考式を利用していると言えます

課題を達成しようとするときに、とかく現在の構造や組織に注意が行きがちですが、あえて構造などを無視して、機能だけを考えてみるのもこの考式の一種です。
それを体系化している方法としてVE(Value Engineering)があります。


対象の進化の傾向を描いてみる

対象となるモノや組織などが、今までにどのように進化してきたのかを、確認することによって、今後の進化の方向を推測できる場合もあります。

また、もう進化の余地はなく、次世代のモノや組織にとってかわられる時期になっているのかを推測できる場合もあります。

横軸を時間軸として、縦軸を対象となるモノや組織などの性能や価値、理想性などとしたときにS字カーブのように、初めは進化の速度が遅いが、徐々に進化の速度が速くなり、ある時期を過ぎると、進化が停滞してくることが多くあります。

対象となるモノや組織について、このような観点で分析し、現在がどの位置にあるのかを推定できれば対策を考える大きなヒントになります。例えば今が進化の初期であれば更に発展させるように考えればよいし、進化の速度が鈍りつつあると推測できるなら、現状の改良を考えるよりも、そろそろ次世代を考えなければならない時期かもしれません。

TRIZでは、モノの進化には、いくつかのパターンがあるとして、進化のパターンをいくつか例示しています。今対象としているモノがどのパターンで進化していて、現在の位置がどの辺りかを推定できれば何を目指せばいいのかを考えるヒントにすることができます。


類似の機能を他の分野から探す

構造ではなく機能で捉えると、いろいろな分野で同じ機能が使われています。
自分が良く知っている分野のことは、すぐに思いつきますが、それでだめなときは自分が馴染みのない分野で同じ機能を実現してる姿をヒントにして思いつくきっかけにしようというのが、この考式です。

たとえば、持ち上げるという機能は、クレーンは物を持ち上げるし、お父さんは子供をたかい高いと持ち上げます。さらに、自動車をジャッキで持ち上げたり、オリンピックの重量挙げでバーベルを持ち上げたりと、いろいろな分野で持ち上げるということが実現されています。
何かの目的で、持ち上げることが必要になったときに、それをどのような構造で実現するのかを考え出すために、いろいろな分野で実現されている構造をヒントにすることができます。

単純に、「持ち上げる機能を果たしているものは、他にないだろうか」とヒントを探してみてもいいのですが、技法として手順化されている方法もあります。
たとえば、NM法は必要な機能を決めて、それを実現しているものを自分が思いつく範囲で探し出し、そこから如何にヒントを得て、アイデアにするかまでを手順化しています。

またTRIZでは、様々な機能について、それを実現できる科学的な効果を検索できる逆引き辞典を提供しています。この辞典を使えば、今必要な機能を果たす方法を自分が知らない分野から探し出すことが出来ます。


まったく関係のないことからヒントを得る努力をする

この考式は、自分が持っている枠組みを壊すことで、それまで考えられなかった斬新なアイデアに辿り着くためのものです。

自分がしようとしていることにまったく関係ないことを、無理やり利用しようと考えると、自分の持っている枠組みを壊してしまわないとどうにもならなくなります。
その結果、現実的ではないような突飛なアイデアも交えながら、こじつけてでも様々なアイデアを出しているうちに、意外なことに気づくというものです。

まったく関係のないものとは、例えば良く使われるのは辞書を使う方法です。辞書を適当に開いて、何も考えずに適当にそのページにある項目を指さします。そうして決まった項目を、自分が抱えている問題に、何としても役立てようと考えるのです。 辞書以外にも、何かのカタログを使う方法もあります。

あるいは、何かの物を何とか利用しようと考える方法もあります。例えばカメラを使う方法もあります。カメラは何かを記録する、カメラのレンズは焦点を合わせる、レンズは拡大・縮小する、シャッターはスタートをかける、絞りは光の量をコントロールするなど、カメラから様々な機能や機構が想像できますが、そのことを自分が抱えている問題に、何とか役立てようと考える方法です

くだらないと思っても、どんどん考えている内に、頭の中の情報の結びつきが変わってくるので、意外なことに気づくことがあるのです。


ヒント集を利用する

この考式は既存のヒント集を使うということです。
何かの目的を達成したり、問題を解決するためのヒント集が色々あります。

例えば、オズボーンのチェックリストやSCAMPER、TRIZの発明原理、標準解、科学的効果のデータベース、USITのオペレータなどがあります。
他にも色々あると思います。インターネット上に公開されている物もあります。

ヒント集を使う上で気を付けなければならないのは、ヒント集から答えを探そうとしてはいけないと言う事です。
 ヒント集を紹介すると、そこから自分の抱えている問題の分野に関するヒントを探したり、ヒントではなく答えそのものを探したりする人がいます。
更に、それが見つからないと、このヒント集は自分の分野には役に立たないと決めつけてしまう人すらいます。

しかし、新しいことをやろうとしているときなどは特にそうですが、自分が抱えている問題の答えが、ヒント集に出ている事は極めてまれです。
ヒント集に答えが出ているということは、既に誰かがそれを解決してしまって、ヒント集に載るほど一般的なことだと言う事です。

ヒント集はヒントとして利用することで役に立つのです。そこには全く関係のないことをヒントにするよりは気付きやすいヒントがある、くらいの気持ちで、それを何とか自分の問題解決に役立てようと、あーだこうだと考えて気づきを得ることが必要です。


思いついた事は書き出す

頭の中だけで考えないで、思いついた事は、文章でも図でも絵でも構わないのですが、書き出してみようという考式です。

頭の中だけでは沢山の事を処理しきれないということもありますが、書こうとすると客観的になったり、論理的になったりと、考える視点が自然に切り替わることによって、それまで気付かなかったことに気が付くことがあります。
更に自分が書いたものを改めて見ることによって、客観的な評価が出来るようになり、気付きを得ることもあります。

それとは別に、いざ書こうとすると何も書けなくて、そのショックで何かに気づくということもあります。

いずれにせよ、とりあえず書いてみるというこの考式は、結構役に立つものです。

 多くの思考方法が、考えたことを書き出して、それを見ながらあるいは分類しながら、思考を進めるように手順が組まれています。

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図や絵で分かりやすくする

頭の中にあることや、集めた資料に書かれている事を、自分なりの解釈で、図や絵で表してみようという考式です。

文章では表現できないことを絵でなら表現できる場合もあります。

図や絵は、文章を書くのとは脳の違うところを使うので、それまで使っていなかった脳の部分が活性化し、更にそこに繋がっている脳の部分も次々に活性化されます。
これによって、それまで気付かなかった事に気づいたり、それまでとは違う発想が出たりします。

このことは、絵や図の上手い下手とは、関係ないようです。人に見せる必要はないので、恥ずかしがらずに描いてみればいいのです。

多くの思考方法が、考えたことを絵や図に描いて、それを見ながらあるいは分類しながら、思考を進めるように手順が組まれています。

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手を使って情報を動かす

紙片に書いた情報を手で動かしたり、画面上に表示した情報をマウスやタッチパネルを使って動かして見ると言う事です。

箇条書きになっている情報同士を頭の中だけで、「これとこれは関連が強い」などと考えるよりも、実際に情報同士を近づけたり遠ざけてみると、情報間の位置関係を視覚的にも確認できると言う事と、それらの情報間の関連性の強さを頭で意識しておかなくても済むので、脳の短期記憶を節約できることにもなります。
これらの効果によって、考えが先に進んで気づいたり思いついたりが促進されるのだと思われます。

昔から情報を紙片に描いて動かす方法が、「こざね法」「KJ法」「NM法」など色々提案されています。
この第一考舎でも「札寄せ法」を提案しています。

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発案しやすい雰囲気を作る

私は、課題に対する案は無意識のうち作られて、それが出来上がるとその案を自分が意識できるようになるのだと考えています
そこで、その過程を促進するために後述の「充分考えたら、考えるのをやめてみる」という考式があります。

ということなので、その二つの段階を効果的に進められるように、それぞれに適した雰囲気を意識的に取り入れるというのが、この「発案しやすい雰囲気を作る」という考式です。

「充分考える」段階では、考えることに集中できるような雰囲気にすることが必要です。
他の事をやりながらとか雑談しながらということを避け、気が散らない場所を選ぶことも効果的です。
また、適度な緊張感を保つことも有効で、そのために案を出す目標件数を決めたり、いつまでに考えるという時間制限も有効なことがあります。

「考えるのをやめる」段階では、無意識のうちに作られた案を受け取れるだけのゆとりを持つことが必要です。
リラックスすることが有効なので、コーヒーブレイクや雑談、スポーツや散歩などをすることも効果があります。
案は無意識のうちに作り始められているので、意識の上では課題のことを忘れてもかまいません。

ただし、案が浮かんできたら、たとえそれが陳腐なものだと思っても、すぐにそれを否定せずに、忘れないように書き残しておくことが必要です。

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充分考えたら、考えるのをやめてみる

この考式は、充分考えて無意識のうちに案を作り始める状態になったら、意識的に考えるのをやめる、というものです。

無意識のうちに作られた案が意識に現れた経験を思いだすと、意外にも、一生懸命に考えているときには、このような案が意識に現れることは稀であり、休憩した時などにフッと案が現れることが多いようです。
このことが実際に頭の中でどのように行われているのかは、分かりません。

しかし例えて言えば、案が置かれる棚のような場所があって、そこに無意識のうちに作られた案が置かれることによって意識に現れると仮定すると、面白い説明が出来ます。
その棚は、限られた広さしかなく、しかも無意識のうちに作られた案が置かれるためだけにあるのではなく、意識的に考える時に記憶の仮置き場としても使われるものだとします。

このような例えを使うと、一生懸命に意識的に考えているときには、棚を全部使っているので、無意識で作られた案が置かれる余地がなく、案が意識に現れない事になります。
そして休憩をしているときは、棚のスペースに余裕があるので、無意識のうちに作られた案を棚に置くことが出来て、意識にそれが現れるのだと説明できます。
もちろん、棚にいくら余裕があっても、無意識のうちに案が作られてなければ、何も棚に置かれないので、案は意識に現れません。
無意識のうちに考えを作り始めるまでは、意識的に徹底的に考える必要があります。

残念ながら、自分が無意識に考えを作り始めたかどうかを自分でも意識することはできません。したがって「充分考えたら」という曖昧な表現になってしまうのが現状です。

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ヒントを何としても利用しようという強い気持ちを持つ

せっかくヒントを見ても「これは課題には関係ない」と思うことがあります。しかし、関係ないようなことでも、「こじ付けでも良いから何とか役立てようとする」というのがこの考式です。

課題に関連したことをヒントにすることは誰でも意識せずに自然にやっていると思います。それで良い考えが浮かんだときは、考式に頼ることはありません。しかし、それでも良い考えを思いつかないような時は、ヒントとして残っているのは関係ないことばかりですね。

その一見関係ないと思われる二つのことを無理やりにでも結びつけようとすることによって、頭の中で活性化された知識が増えることになります。
すると、課題に関係する知識だけでは思いつかなかった解決案を思いつく可能性が出てくるのです。

このことに目をつけて、「まったく関係のないことからヒントを得る努力をする」という考式もあります。

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標準的な考作法

私が考える標準的な考作の流れです。これは考作の流れの一例であると共に、考式の利用例でもあります。

実際に考作をするときは、その時の状況に合わせて、この方法を基に一部を省略したり、追加したり、考式を使う順番を入れ替えています。
後戻りもあります。例えば(3)や(4)の後に再度(1)や(2)に戻ることもあります。

(1)課題を見直す
(2)現状を見直す
(3)発案に専念する
 (思いついた案を評価しない)
(4)思い付いたすべての案を
  分類し整理する
(5)整理した案の長所短所を
  書き出す
(6)案を育てる
 (1)課題を見直す

課題を見直す段階を作る」という考式をそのまま使っています。
ここで課題についてあらためて見直すことで、課題に関連した知識が頭の中で活性化し、考作に利用しやすくなります。
また課題に関連した物事に気づきやすくもなります。

この段階でも、課題を達成するための考えがポツポツと頭に浮かんで来るので、それを頭の中で良いとか駄目とか判断しないで書き留めます、考式「思いついた事は書き出す」を使うということです。
ここで「発案と評価を分ける」という考式も使っていて、評価は(5)以降までしません。

なお、見直しの結果によっては、課題を別の課題に変更することもあります。

 (2)現状を見直す

(1)で見直した課題の現状がどうなっているのか、あらためて見直します。

現状をどんな観点で見直すのかという、目の付け所は色々あります。
例えば、組織や物の構造であったり、組織や物の機能であったり、課題を達成できていない理由についてであったり等々です。
課題によって観点を選んだり、観点をいくつか変えて何回かやってみたりします

この段階でも、上の(1)と同様に課題を達成するための考えがポツポツと頭に浮かんでくるので、それを頭の中で良いとか駄目とか判断しないで書き留めます、考式「思いついた事は書き出す」を使うということです。
ここでも「発案と評価を分ける」という考式も使っていて、評価は(5)以降までしません。

この段階で課題を変更して次項以下を行うこともあります。

 (3)発案に専念する

(1)(2)の段階で課題を達成するための考えが、頭に浮かんで来ている事が、結構あります。 その案で課題を達成できるから、すぐに実行しようという思いが湧いてきますが、あえて、課題を達成するための考えを思いつくだけ沢山書き出す段階を作ります。

なかなか思いつかない時は、ヒントを使って考えます。私が実際に利用したことがあるのは、ブレーンストーミングで出たアイデアリスト、オズボーンのチェックリスト、NM法で出したQBとQC,TRIZの発明原理、USITのオペレータです。
これは「ヒント集を利用する」と「ヒントを何としても利用しようという強い気持ちを持つ」という考式を使っている事になります。

思いついた案は、頭の中で良いとか駄目とか判断しないで、全て書き出します。
ここでも「発案と評価を分ける」という考式も使って、評価は(5)以降まで我慢します。

 (4)思い付いたすべての案を分類し整理する

書き出した案を、分類して整理統合します。
ここでは、図考室にある「札寄せ法」が便利です。
この段階でも、案を思いつくことがあるので、それも頭の中で良いとか駄目とか判断しないで追加して整理しなおします。

 (5)整理した案の長所短所を書き出す

整理統合した案について、それぞれを比較できるように長所短所を書き出します。

 (6)案を育てる

整理した案の欠点を補うように案を組合わせたり、修正して実行案を作ります。
 実行案は、一つとは限りません。考え方の違う案が複数できれば、それらをすべて実行案として残します。

考作はここまでです。(4)~(6)は、ブレインストーミングで出たアイデアの活用で紹介していることと同じです。この結果を役に立てるには、「評価」・「実行」が必要です。

以上はあくまで基本形であり実際に考作をするときは、その時の状況に合わせて、この方法を基に一部を省略したり、追加したり、考式を使う順番を入れ替えています。

過去に先輩諸氏によって公表された思考の方法には、その作者自身が行っている方法を他の人にも使えるように手順化して公表したものも多くあります。
ところが、それを公表した本人は、その方法をそのまま使い続けるのではなく、改良を重ねたり、次々に別の方法を開発しているようです。
その理由は人の能力は固定したものではなく、時と共に進化し続けているので、それに合わせて思考の方法も変える必要があるからなのだと思います。

それは初めに公表した方法が、ダメになったのではなく、公表した人には合わなくなったということです。
ということで、人によっては初めに公表された方法が合う人もいれば、改良された方法の方が合う人もいるかもしれません。

なお改良された思考法であっても、そこには考式が埋め込まれており、その考式の並べ方や重みの置き方を変えているように思えます。

私も自分の能力や考える目的に合わせて、考作を助ける道具を改良していこうと思っています。(自分の考作を進化させるを参照してください。)

既存の道具

私が使って助けられた「既存の道具」を紹介します。

ブレインストーミング(私の使い方)

私はブレインストーミングを利用したことによって特許の取得や、問題の解決に結びついた経験が何回かあります。
「特許の取得や、問題の解決に結びついた」というのは、ブレインストーミングの中で解決案そのものが出たと言う事ではありません。
ブレインストーミングを行なったことと、そこで出た案が、我々当事者を刺激し、あるいは何らかの気づきを促して、結果的に解決案を考えつくことが出来たと言う事です。

と言う事で、ブレインストーミングは使い方次第で、非常に有効な考作の道具だと考えています。

1.ブレインストーミングとは

2.何のためにブレインストーミングをするのか

3.ブレインストーミングに期待する効果

4.ブレインストーミングの有効性

5.ブレインストーミングの流れ

6.ブレインストーミングの参加者の役目

7.ブレインストーミングで出たアイデアの活用

8.参加者の選定とブレインストーミングのテーマ

9.司会者の役目

1.ブレインストーミングとは

ブレインストーミングとは、1938年にアメリカのA.F.オズボーンさんが作った会議の方法です。

オズボーンの著書「独創力を伸ばせ」は、「独創的な想像、とくにそれと問題解決との関係」をテーマに書かれた本ですが、その中で技法としてブレインストーミングが紹介されています。

そこでは---

ブレインストーミングは、いわばアイデアのチェックリストを作成することを唯一の目的とした独創的な会合といってよい。
もちろんそのアイデアは、問題解決の糸口になるものであり、後で評価したり手を加えることのできるものである。

判断を先にのばす原則が厳格に守られないかぎり、どんなものでもブレインストーム会議とはいえない。

---と書かれています。

このことから、私はブレインストーミングとは、
「問題解決の糸口となるようなアイデアを沢山出し、出た案に対して良い悪いといった判断をしない会議」と考えています。

なお「アイデアのチェックリスト」という言葉が出てきますが、別の個所で---

われわれの直面する大部分の問題には既成のチェックリストは存在しない。だから、われわれは取りうる手段のリストを自分の手で創り出さなければならないのである。

あらゆるアイデアはリストにしなければならない。相当数のアイデアが出れば、今度はそれをもっと多くのアイデアを出すためのチェックリストに使うこともできる。

---と書かれている事も合わせて解釈すると、
「アイデアのチェックリスト」とは、ブレインストーミングで出たアイデアを一覧表にしたものであり、後で、その一覧表に載っているアイデアを評価したり手を加えたり組み合わせたりして、問題の解決案に発展させるためのリストであると解釈しています。

なお、ブレインストームとは「頭を使って問題を攻撃する」という意味だそうです。


2.何のためにブレインストーミングをするのか

ブレインストーミングをやろうというのは、いろいろ考えても良い考えを思いつかないときです。

私の場合は、次のような目的でブレインストーミングを行ないます。

  1. そこで出たアイデアを見ることで、自分自身が課題解決の案に気づく
  2. そこで出たアイデアを色々組合わせたり加工しているうちに、自分自身が課題解決の案に気づく
  3. 集団に入って発散思考をした結果が、私の脳を刺激する・視点を変える

つまり私は、ブレインストーミングには実行可能な解決案を求めてはいないのです。なぜなら案を実行可能で斬新な解決案にするのは自分だからです。

評価したり手を加えたり組み合わせたりして、問題の解決案に発展させるためのリストを得るために行うのです。

目的の最後にあげた「私の脳を刺激する・視点を変える」ということについて、もう少し説明します。

ヴァン・ファンジェ著「創造性の開発」に、ジェネラル・エレクトリック社の創造工学プログラムの監督だった人から聞いた話しとして、次のような記述があります。
要約すると---

製品の耐雨性能試験では、撒水装置で規定の雨量の水を、製品にかけて性能に異常が起こらないかを確認する。
それまで雨量を規定値に合わせるために、下でうけているコップが一定の時間内に、水で一杯になるように撒水装置のバルブを調節していた。
その方法では、バルブを調節するのに多大な時間が必要だった。

もっと効率よく耐雨性能の確認試験をすすめるために、雨量を一瞬に測定する装置の考案が課題となった。

ある時、技術者が数人、秘書の机の近くに立って、ああでもない、こうでもないと意見を交わしていた。

そのときに、秘書が話に割りこんできて『水滴の数を数えたらいいじゃないの』と言った。

技術者たちは、素人のあまりにも非現実的な発想に笑いをこらえていた。
ところが、仲間の一人が『そんなに悪いアイデアじゃない』と言い、独創的な解決案を提案した。
『やってみようじゃないか。吸取紙一枚に電解液を含ませ、その下に電熱器を置いてみよう。
それから、測定器で紙の両端の電気抵抗を計り、紙をかわかすのに必要な電力をはかる計器も使ってみよう。
抵抗を一定に保つことができれば、雨の密度を計る電力計の目盛りを検定補正できるだろう。』

この解決案は、『水滴の数を数える』方法ではないけれど、秘書が言った言葉をきっかけにして、技術者たちは、いくつかの可能な解決にのりだすことになった。

どんなに奇妙なアイデアでも、誰かの心に充分な可能性をもつ火をともすことがあるのである。

---この例で秘書の発言はブレインストーミング中のものではありませんが、私がブレインストーミングで出る非現実的な発想から、ハートに火をつけられたいと思うのはこのようなことなのです。


3.ブレインストーミングに期待する効果

上記のような目的を達成するためにも、ブレインストーミングには次のようなことを期待して行っています。

  1. 課題に関係する雑多な情報をたくさん出す
  2. 実行可能な解決策ではなく、課題解決に関する雑多な案をたくさん出す
  3. 参加者が創造的な気分になる

4.ブレインストーミングの有効性

ブレインストーミングは、すぐ実行できるような完璧な解決策を出す為ではなく、問題解決の糸口となるようなアイデアを沢山出そうという会議です。
そして、そこで出た発言に対しては、良い悪いといった判断をせずに記録するので、その記録には一見して素晴らしいと思えるようなアイデアもあれば、どうしようもないと思えるような案も残されています。
私の経験では、一目見て素晴らしいと思えるようなアイデアは、まれにしかありません。

ブレインストーミングで得たアイデアのリストを活用して実行可能な案を作り出すには、リストの内容を評価したり手を加えたり組み合わせたりして、あるいはアイデアのリストが私の脳を刺激したり視点を変えることで、私が実行可能で斬新な解決案を思いつく必要があるのです。

そのため、ブレインストーミングを終えた時点で発言の記録を評価してみても、そのブレインストーミングが有効だったのかどうかは判断できない、と私は考えています。

ブレインストーミングを終えた後で、実行可能で斬新な解決案を思いついたかどうかによって、そのブレインストーミングが有効であったかどうかが判断できるのです。

私の場合は、過去に何度かの有効なブレインストーミングを経験したと言う事です。


5.ブレインストーミングの流れ

ブレインストーミングを行なうときの、大まかな流れは図のようにしています。

(1)事前準備
(2)ブレインストーミングの
実施(1時間程度)
(3)ブレインストーミングで
 出たアイデアをヒント
  にして当事者が考える
(4)実施案の評価・実行

すなわち、問題の解決案を考えるヒントを得るために、ブレインストーミングをすると決めたなら、事前準備をしてからブレインストーミングを行ないます。

解決の実施案は、問題を解決しようとしている当事者が、ブレインストーミングの結果としてできた「アイデアのチェックリスト」をヒントにして考えます。

そしていくつかの実施案を作り、評価し、最終的に実行する案を決めて、実行することになります。

もちろん、その実行結果を評価し反省し、次に活かすことも必要です。

こうした一連の流れの中で、ブレインストーミング自体は、せいぜい1時間しか掛けない訳ですが、全体の結果を左右するアイデアを得るきっかけになるかもしれないのです。

(1)事前準備

ブレインストーミングをやるために、最低限必要な準備として、次のようなことをしています。

  1. 司会者の決定

    司会をするにはブレインストーミングを理解していて、更に会議の流れをコントロールできる必要があります。後述の司会者の役目を果たせる必要があるということです。

    司会者は、ブレインストーミングを進行することができるなら、必ずしも課題に精通している必要はありません。

  2. 課題とテーマの明確化
    解決したい問題の全体
    ブレインストーミングを
    利用して解決したい課題
    ブレインストーミングの
    テーマ

    ブレインストーミングを行なうには、ブレインストーミングのテーマを明確にしておく必要があります。

    そのため、ここでは、解決したい問題と課題、テーマについて、私の考えを紹介します。

    前述の何のためにブレインストーミングをするのかで紹介した耐雨性能試験の改善の例では、撒水装置から出る雨量を規定値に合わせるために多大な時間がかかるという問題がありました。

    これが「解決したい問題」です。

    そして彼らが「課題」として選んだのが、「雨量を一瞬に測定する装置の考案」です。

    問題を解決するためには、雨量を測定するのではなく、「バルブのメモリを正確に校正する」など、他の課題を設定しても良かったかもしれませんが、いくつかの候補の中から、この課題を選んだのでしょう。

    彼らは、ブレインストーミングではなく、課題に関する知識を持った専門家が数人で、あーでもない、こうでもないと意見を交わすという方法で、課題の達成方法を考えたわけです。

    しかしブレインストーミングでは、課題に関する知識がない人が参加することもあるので、その場合は課題を参加者が理解できることに置き換えて「ブレインストーミングのテーマ」にします。

    後述の参加者の選定とブレインストーミングのテーマも参考にしてください。

(2)ブレインストーミングの実施

ブレインストーミングは、他の会議とは進め方が違うので、始める時に司会者がブレインストーミングであることを明確に宣言する必要があります。

次にテーマを説明してから、序盤、中核の時間帯、終盤と進め、全体で1時間程度を目安に行います。

各時間帯については、後述の司会者の役目も参考にしてください。

(3)ブレインストーミングで出たアイデアをヒントにして当事者が考える

いくつかの実施案を作る段階です。後述のブレインストーミングで出たアイデアの活用を参考にしてください。

(4)実施案の評価・実行

いくつかの実行案を評価し、最終的に実行する案を決めて実行します。


6.ブレインストーミングの参加者の役目

ブレインストーミングでは、参加者が普通の会議とは違う役割を担っている、ということを理解して参加することが重要です。

普通の会議では、

議長は「この問題について、良い案をお持ちの方はいらっしゃいませんか?」のように参加者に問いかけることが多いと思います。
参加者はあらかじめ考えてきた案や、その場で思いついた案に対して、その案に欠点がないか、実現可能か、前に出た案と同じではないかなど頭の中で吟味して、「良い案」だと思う案だけを提案します。

そして他の参加者は、提案された案に対して、良いのか悪いのかを評価します。
良い雰囲気の会議であれば、「その案は、ここに欠点があるから、このように修正したらどうか」という発言が出てきますが、ひどい場合は「それじゃ駄目だろ。よく考えてから発言しろよ」ということもあります。

これに対して、ブレインストーミングでは、

議長からの投げかけは「この問題について、思いついた案をなるべく多く出してください」ということになります。

良い案を求められるのではなく、思いついた案をできるだけ多く求められるのです 。

そのため参加者は、「課題に関係する情報の提供や課題解決の案を考えて提供する事に集中し、その良否の判断をしないで、できる限り沢山出す」という努力が必要になります。

 更に、他の人の案を改良したり、Aさんの案とBさんの案を結びつけた案なども思い浮かべば、遠慮せずに発言することが必要です。

 ブレインストーミングでは、どんなアイデアにも出した人の名前はつけません。それと同じアイデアは他のメンバーがすでに考えていたかもしれないし、数分前にだれか他の人が出したアイデアに刺激されて出てきたのかもしれないからです。

もうアイデアが浮かばないと感じても、ブレインストーミングを行っている間は、なんとかアイデアを絞り出そうと頑張ることも大事です。

なぜなら、苦しまぎれに出した、へんてこりんなアイデアが、誰かのハートに火をつけることになるかもしれないから。

ブレインストーミングの参加者は、「言いだしっぺが最後まで責任を持たされるようなことはなく、言いっ放しで帰れる」ことが保証されているので、安心して思ったことを口にして良いのです。


7.ブレインストーミングで出たアイデアの活用

ブレインストーミングで出されたアイデアの記録は、問題解決の糸口を探すヒントになります。
とはいえブレインストーミングで出されたアイデアは、思いついたものを評価・判断せずに、そのまま記録されているので、役に立つアイデアばかりとは限りません。

ほとんどのアイデアは、誰にでも考え付くようなことだったり、役に立ちそうもないことだったりします。
良いなと思うアイデアも、よく考えると良い面とともに有害な要素もあったり、そもそも実行不可能などの重大な欠点が判明することもあります。

こうしたアイデアの記録をヒントにするためには、次のようなことをしています。

  1. 重複アイデアの一本化

    アイデアの記録には同じアイデアが違う言葉で表現されていることが、よくあるので、最初にやることは、これらを一つにまとめることです。

  2. 分類によるアイデアの追加

    それぞれアイデアを様々な観点でで分類し、その分類に当てはまる別のアイデアを考えます。
    これら、一つにまとめたり、様々な観点で分類することは、「札寄せ法」を使ってやっています。

    その分類に当てはまる別のアイデアを考えるというのは、考える範囲をその分類に当てはまるアイデアに絞り込んで、その範囲だけで改めて考えてみることです。

    関連する考式として複雑な情報を分類してみるがあります。

  3. 強制利用

    逆に、分類など気にせずに、一つひとつのアイデアについて、無理やりにでもそれを問題解決に役立てようと考えることもあります。

    複数のアイデアを組合わせて、もっと良くなるように考えて見ることもあります。この場合、無作為に二つのアイデアを組み合わせて、無理やりにでもそれを問題解決に役立てようと考えます。

     関連する考式としてヒントを何としても利用しようという強い気持ちを持つがあります。

  4. 選択利用

    ブレインストーミングで出たアイデアの数が多い場合は、本質的に良いと思うアイデアだけについて、そのアイデアの欠点を無くす方法を考えることもあります。

  5. 組合せによる補完

    それぞれのアイデアの欠点という観点で分類して、その欠点を補えるアイデアと組み合わせてみるという場合もあります。

これらのそれぞれの場面で、アイデア追加のブレインストーミングをやればさらにアイデアを増やせますが、実際にアイデア追加のブレインストーミングでやったことはありません。

私の場合は、この段階では自分で考えることを優先した方が上手く行きそうだと思っているからです。

なお上記のようなやり方で考える時は、懸命に考えることが重要で、もうダメだと思っても活用しようという強い意志が必要だと思ってやっています。
チョット変な言い方ですが、それが、「自分の無意識への動機付け」になるのだと思っています。これによって、意識的に考えるのをやめているときにも、意識できないところで考え続ける状態になるのだと思います

ブレインストーミングで出たアイデアから以上のようにして問題解決の糸口を探すのですが、こうして考えても、その時は、これは面白いねという程度のアイデアは時々出てきますが、これらを考えている時に、完璧で独創的なアイデアが出ることは、ほとんどありません。

これはと思うアイデアが実際に出たのは、以上の一連の作業を終えてから、朝起きたときや通勤途中など別のことをしている時が多かったというのが、本当のところです。

それでも、ブレインストーミングをやった効果はあったと思っています。

私の場合は、ブレインストーミングを行って、そこで出たアイデアから問題解決の糸口を探す段階は、考えるための予備知識としての関連情報をいろいろな形で頭に入力する過程と見ているのです。
何故なら、実際に案を考えるのは意識的なものではなく、無意識に行われているからです。



8.参加者の選定とブレインストーミングのテーマ

ブレインストーミングをやろうというのは、いろいろ考えても良い考えを思いつかないときです。

先ずは当事者だけでブレインストーミングをやってみることになるのが普通です。その場合は、全員が課題に精通しているので、課題そのものをブレインストーミングのテーマにすることができます。
しかし当事者は、その問題に関して固定観念を持っていて、そこから抜け出せないことがあるので、新たなアイデアが出にくいことが多いようです。

そこで、テーマを少し変えて、「課題を達成できていない原因は何か」や「他の分野に類似の機能がないか」などとしてブレインストーミングをやってみると、突破口に気づくこともあります。

それでも、いい考えが出ないときは、その問題に関して固定観念を持っていない人からヒントをもらいたくなります。
数人の人に集まってもらい種々雑多なアイデアを出してもらい、それを当事者が考えるヒントにしようというのが狙いです。

ブレインストーミングは協力してくれる人に参加してもらう時間は1時間程度なので、お願いしやすいという利点もあります。

課題に精通していない人にも参加してもらうので、ブレインストーミングでアイデアを出してもらうテーマは、参加者に合わせて表現を変える必要があります。

更に、専門知識が違う他の部署の人に参加してもらった時などは、参加者が理解できる課題に置き換えてブレインストーミングのテーマにしたこともあります。例えば、電波の問題を光に置き換える、光の問題を水の流れに置き換える、などです。

また一般的には具体的でイメージしやすいテーマの方が、具体的なアイデアが出やすくなります。

もちろん課題を置換えて行なったブレインストーミングの結果をヒントにして実際の課題解決に役立てるのは当事者です。



9.司会者の役目

司会者の役目は、参加者に、できるだけ多くのアイデアを発言してもらう事です。
そのために、色々な配慮が必要です。

(1)不慣れな参加者には役割を教える

それは、「参加者はアイデアを思いついたら自分で評価せず、そして躊躇せずに発言する」ことと、他人の発言を批判しないこと、
「言いだしっぺが最後まで責任を持たされるようなことはなく、言いっ放しで帰れる」ということです。

なぜなら、ブレインストーミングは、何かを決める会議ではないからです。
つまり会議と言えば、意見や提案を出して、それについて議論し、何かを決める、決まらないときは議長の裁定で決めるという会議もありますが、ブレインストーミングは問題解決の糸口となるようなアイデアを沢山出し、出た案に対して良い悪いといった判断をしない会議だからということです。

そのため参加者は、課題に関係する情報の提供や課題解決の案を考えて提供する事に意識を集中することが重要で、
思いついた案は、実現性や有効性、費用など良否の判断をしないで、できる限り沢山出すこと。そして、その提案について何の責任も負うことはなく、出しっぱなしで良いと言う事です。

(2)発言しやすいように、そして緊張せずに考えられるように

席の配置や始める前の雑談など、できる限り雰囲気作りをする必要があります。
独創力を伸ばせ」には、一生懸命に努め、しかも心にゆとりがあるときに、多くのアイデアが出てくると書かれていますが、その通りだと思います。

(3)参加者の発言を評価しない

参加者の発言を、褒めても、けなしてもいけません。
実際、ある参加者の発言を褒めたら、他の参加者もその発言に関連した提案しかしなくなり、それ以上発展しなくなってしまったことがあります。

(4)自分のアイデアを提案しない

参加者から提案を引き出すための呼び水としての提案であればかまいませんが、あくまで参加者に、できるだけ多くのアイデアを発言させることが役目です。

余談ですが、参加者は懸命に考えているときに、無言になることがあります。

参加者が無言になったとき、一生懸命考えているのか、飽きてしまったのかを見分けるのは難しいものです。

飽きてしまったのだと、早とちりして声を掛けてしまい、その結果参加者の集中力が途切れてしまったというような失敗をしたこともあります。

(5)出たアイデアは必ず記録する

書記がいない場合は、司会者が記録する必要があります。

参加者に見えるようにホワイトボードや模造紙などに記録します。

プロジェクタや大画面モニターにパソコンの画面を映せるなら、メモ帳などでテキストファイルに書き出せば、後で「ふだメモ」を使う場合に便利です。また、エクセルのA列のセルに発言順に記録すると、後で「札寄せ用具」を使う場合に便利です。

(6)時間の管理

ブレインストーミングは結論を出さない会議なので、司会者が時間を管理して進める必要があります。
結論を出す会議であれば、結論が出るまでやると言う事も出来ますが、ブレインストーミングでは時間を割り振って進め、所定の時間で終わらせる必要があるのです。

ブレインストーミングの中核的な時間帯は、参加者が一生懸命考えて、次々にアイデアを発言する時間帯です。
この時間帯に参加者が、アイデアを考えて発言することに一生懸命努め、しかも心にゆとりがあるという状態になるように、序盤にウォーミングアップ的な時間帯を作ります。

序盤のウォーミングアップでは、参加者同士が初対面であれば、互いに簡単な自己紹介をしたり、多少の雑談をしたり、冗談を言うなどで、参加者の気持ちをほぐします。

中核の時間帯に入ったら、人間の集中力が続くのは20分程度とも言われるので、長くても30分で終盤に移るようにします。

なお、終盤に移る5分前くらいに、改めて最後にアイデアを振り絞って出すことを促します。参加者が苦し紛れに意外なアイデアを出してくれることもあります。

終盤では、出たアイデアの記録を後で使えるように、記載に不備がないか、発言の意図が表現されているかを参加者も交えて確認します。

解散前に、後でアイデアを思いついたら、連絡してくれるように参加者にお願いしておきます。

なぜなら、ブレインストーミングを真剣にやった後は、終わってからも参加者が意識していなくても、無意識にアイデアを出すように脳が活動していることがよくあるからです。
そのためブレインストーミングを終えてから、ポロッとアイデアを思いつくことがあるのです。