・札寄せ法の実施例
・札寄せ用具とふだメモの利用例
・ユーザの活用事例
個人用の札寄せ法の実施例を紹介します。
ここで紹介する図は、デモ用に作ったものではなく、何らかの目的を持って、実際に札寄せをした結果として残った図です。
1.講義の受講メモ
放送大学の「認知心理学」を受講しながら、講義内容や印刷教材「認知心理学」を基に札寄せをした残骸です。
自分の為の受講メモなので、札寄せをすることによって、内容を自分の頭に入れるのが目的です。
付箋ノートの電子版といったところですね。
この時は、授業を受けていたり、印刷教材を読んでいて、気になる言葉や、覚えたい言葉に出会った時に、それを札に書き出しました。
既に知っている事や、覚えなくていいと判断したことは、札にはしていません。そして区切りのいい時に、札を動かしたり、札同士を線で結んだり、枠で囲ってみたり、思うとおりに札寄せをし、その時に調べたいことが出てきたら辞典やインターネットでしらべて、札を追加しました。
更に自分が感じた疑問点なども札にして書き込んでいます。
その結果として残ったのが、これらの図です。
後で見返すこともあるかもしれませんが、単位認定試験が終わればほとんど見ることはないだろうと思います。
だから「残骸」なのです。(このおかげかどうか分かりませんが、単位認定試験には合格しました)そんな事情なので、人に見せることも意識していません。
自分が必要な所だけをメモしているので、授業内容や印刷教材の内容を網羅している訳でもありません。だから、せっかく見て頂いても、内容については、あまり理解できないとは思います。
でも、ここで紹介したいのは、個人用の札寄せ法では、どんな図を描くのかであり、授業の内容を紹介するのが目的ではないので、内容は理解されなくてもかまわないと思っています。
上は、その中の一枚です。(上の図をクリックすると大きい図を表示します)
実際のエクセルファイルも、下に置きますので、良かったら見てください。EXCEL2016、EXCEL2013、EXCEL2010、EXCEL2007なら見れます。
このファイルは、エクセルのシートに描画ツールで図形を描いたものとして扱えるので、図の中の札や枠を動かしたり編集することもできます。
なお、エクセルOnlineは、図形機能がないので見れません。札寄せ法実施結果のエクセルファイル 「 nintisinrigaku.xlsx 認知心理学受講メモ」 (←クリックしてください)
「札寄せ用具」と「ふだメモ」は、元々は「札寄せ法」の道具として作ったのですが、実はそれ以外の用途にも使っているので、紹介します。
札寄せ法に限らず、またここで紹介した用途以外にも、様々な考作に使えるので、思考支援ソフト、あるいは、思考補助ソフトの一つと呼べると思います。
・エクセルの画面表示を変える(札寄せ用具のみ)
・パワーポイントの下ごしらえ(札寄せ用具のみ)
・パワーポイントのスライドから文章を作る(札寄せ用具のみ)
・セルの不規則な並べ替え(札寄せ用具のみ)
・こざね法
・新QC七つ道具
・頭を整理しながら考える
・エクセルの画面表示を変える
エクセルで、図形を使わずに作業をするときでも、札寄せ用具を使って、画面の拡大または縮小や、全画面と通常表示の切り替えや、枠線と見出しの表示と非表示の切り替えをしています。
これらは、あえて札寄せ用具を使わなくても、エクセルの操作でできることですが、操作方法を忘れてしまっても、札寄せ用具を使えばボタンひとつクリックすればいいので、便利だと思っています。
・パワーポイントの下ごしらえ
パワーポイントでは、文を記入した図形を描くことが多いのですが、先に文を考えたいときや、文が既に決まっているときは、先ずエクセルのセルに文を書き込みます。
パワーポイントで一つずつ図形を描いて、そこに文を書き込むより、エクセルのセルに文を書く方が、手早くできるのでこの様にしています。
次にそれを札寄せ用具で札に変換してから、札をパワーポイントにコピーします。
(「札寄せ用具」→「ファイル/変換」→「一括変換」、「セルを」、「札に」)札の形や色はパワーポイントで編集した方が早いので、このようにしています。
・パワーポイントのスライドから文章を作る
パワーポイントのスライドを元にして、文章を書きたいときは、一枚のスライドに描かれている図形を、すべてエクセルにコピーします。
次に札寄せ用具で、図形に書かれている文字をテキストファイルに書き出します。
({札寄せ用具」→「ファイル/変換」→「一括変換」、「札・枠を」、「テキストファイルに」)テキストファイルの内容を、ワードなどにコピーして、文章の素材とします。
・セルの不規則な並べ替え
エクセルのA列のセルに名簿があるとします。
この名簿を並べ替える時に、名前の昇順や降順に並べ替えるなら、エクセルの「並べ替え」の機能で簡単にできますが、セルに記入されていない観点で並べたいときには、この機能は使えません。
このようなときには、名簿を札寄せ用具で札に変換します。
(「札寄せ用具」→「ファイル/変換」→「一括変換」、「セルを」、「札に」)そして札の状態で、並べ替えてから、札寄せ用具でセルに書き出します。
(「札寄せ用具」→「ファイル/変換」→「一括変換」、「札・枠を」、「セルに」)札・枠の書出しでは、上にある札から順番にセルに書き出すので、札の並べ替えが反映されます。
・こざね法
こざね法とは、「知的生産の技術」(梅棹忠夫著)で紹介されている文章の構成を考えるための方法です。
こざね法を簡単に説明すると、
(1) B8判の紙きれに、主題に関係のあることがらを、思いつくままに、順序かまわず単語、句、または短い文章で、一枚に一項目ずつ、書き込む。
(2) その紙きれを、机の上、またはタタミの上に並べて、この紙きれを一枚ずつ見ながら、それと論理的なつながりのある紙きれをさがす。
あれば、それを一緒に並べる。何枚かまとまったら、論理的に筋が通ると思われる順序に、その一群の紙きれを並べてみる。そして、その端を重ねて、それをホッチキスでとめる。
こざねの列がいくつもできたところで、さらにそれらのこざねどうしの関係を考える。
この作業を続けているうちに、新しい素材を思いついたら、どんどんこざねを追加する。こうして、論理的にまとまりのある一群のこざねの列ができると、それをクリップでとめて、それに見出しの紙きれをつける。
(3) あとは、こういうふうにしてできたこざねの列を、何本もならべて、見出しを見ながら、文章全体としての構成を考える
という方法です。
これを「札寄せ用具」あるいは「ふだメモ」を使って行なっています。
「札寄せ用具」の場合
(1)ではセルに書き込み、札にする。
(「札寄せ用具」→「ファイル/変換」→「一括変換」、「セルを」、「札に」)(2)と(3)の作業を札と枠を使って行い、文章全体としての構成ができたら、札寄せ用具でテキストファイルに書き出します。
({札寄せ用具」→「ファイル/変換」→「一括変換」、「札・枠を」、「テキストファイルに」)札・枠の書出しでは、上にある札から順番にテキストファイルに書き出すので、札の並べ替えが反映されます。 テキストファイルを、メモ帳やワードなどで開いて推敲し、文章を完成させます。
「ふだメモ」の場合
(1)では、札に書き込む。
思いつくことを一項目一行でテキストファイルに書いてから、札に変換することもできます。(2)と(3)の作業を札と枠を使って行い、文章全体としての構成ができたら、「ふだメモ」でテキストファイルに書き出します。
(「ふだメモ」→「ファイル」→「文書保存」)札・枠の書出しでは、札の並べ替えが反映されます。上にあるものから順番に、札か枠に関わらず、一枚を一行にします。グループがある場合は、同じグループ内の札枠を続けて書出します。 テキストファイルを、メモ帳やワードなどで開いて推敲し、文章を完成させます。
・新QC七つ道具
「札寄せ用具」と「ふだメモ」は、系統図法、連関図法、親和図法、PDPCの図の作成にも利用できます。
系統図法等は新QC七つ道具の方法であり、「おはなし新QC七つ道具」(納谷嘉信 編)でも紹介されています。また、JIS Q 9024 「マネジメントシステムのパフォーマンス改善‐継続的改善の手順及び技法の指針」でも、言語データに対する技法として、特性要因図とともに記載されていています。
・頭を整理しながら考える
ふだメモで、こんな図を描きながら考えています。
考えが変われば、図を変更します。
そうするとまた考えが変わることも多く、更に図を変更します
そんなことを繰り返していると、急に何かを思いつくこともあります。
何を思いつくのだろうかと、自分が楽しんでいます。
だから、この図は最終形ではなく、どんどん変わっていき、ぜんぜん違うものになるかもしれません。
札寄せ法や札寄せ用具を活用して頂いている方の、事例を紹介します。
・『TRIZホームページ』
大阪学院大学名誉教授の中川先生は、ご自身が考えるため、そして考えを視覚化するために札寄せ法と札寄せ用具を、活用されています。
そして、ご自身の『TRIZホームページ』で、その活用事例を丁寧にご紹介されていますので、以下にリンクさせて頂きます。
札寄せ用具と図的思考: 札寄せ用具の開発の意図、操作法、使い方、使用実践例、図的思考の有効性・第3部: 「札寄せ用具」の使用実践例: 中川が行っている「見える化」のための札寄せ法「札寄せ」しながら考える
・第2部: 「札寄せ用具」の使用実践例: 片平が行っている札寄せ法
・第1部: 札寄せ用具の開発の意図、操作法、使い方
・「札寄せ」しながら考える (5)-(13) ~ 日本社会の貧困を考える [A] 高齢者の貧困化 (0) はじめに「札寄せ用具」と「第一考舎」の紹介
・「札寄せ」しながら考える (4) ~ 日本社会の貧困を考える: 高齢者、現役、若者、子ども (索引ページ)
・「札寄せ」しながら考える (3) - Sickafusの「潜在意識問題解決」の論文を理解する
・「札寄せ」しながら考える (2) ~ (短い)文章全体を「札寄せ」で図示(見える化)する
・「札寄せ」しながら考える (1) ~新幹線焼身自殺 [放火] 事件を例に
・ソフト「札寄せ用具」と ウェブサイト「第一考舎」の紹介